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自己破産の「同時廃止」って何?破産手続きの種類と特徴の違いを解説!

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自己破産を調べていると「同時廃止」や「管財事件」という言葉を目にすることがあるかと思います。一般の方にとっては聞き慣れない用語ですが、手続きに取り組む債務者としても知っておきたい重要な概念です。
それぞれどのような手続きなのか、必要な期間や費用などの特徴を見ていきましょう。

 

同時廃止ってどんな手続き?

同時廃止というのは、手続きがすぐに終了へと向かうシンプルな破産方法のことです。

本来は、債務者の財産を集めて売却し、そのお金を債権者に配当します。しかし破産者の財産では手続の費用(裁判所費用や破産管財人の報酬など)を支払えず、配当できる見込みもない場合には、そのような作業は行われません。最初から「財産がないので、この手続きは終わりにします」と宣言してしまうのです。

こうして、破産手続開始決定と同時に終了も決まることから、「同時廃止」と呼ばれています。

 

財産がほとんどない人に多い

同時廃止になる可能性が高いのは、主に次のようなケースです。

  • 預貯金や現金が少ない(合計で数十万円以下。地方裁判所により基準が異なる)
  • 不動産や車といった高額な財産を持っていない
  • 会社員やパート勤務など、給与で生活している
  • 借金の理由が、病気や失業などやむを得ない事情による など

持ち家がなく賃貸住まい、車もなし、預金もわずか、といった状況であればこの手続きになる可能性が高いでしょう。
※ギャンブル等の免責不許可事由があり、詳細な調査を要するケースだと管財事件になる可能性が高まる。

 

低コスト・短期間の傾向

破産者にとっての同時廃止のメリットは「低コスト」かつ「短期間で終えられる」ことです。

予納金が比較的安く、裁判所に納めるお金は1〜3万円程度で済みます。また手続きにかかる期間も3〜4ヶ月ほどで足りることが多く、債権者集会も開かれません。裁判所とのやり取りも最小限で終わります。

 

管財事件とは何が違う?

一方の管財事件は、財産の調査や管理が必要な場合に選ばれる手続きです。同時廃止に比べると、かなり本格的な内容です。

簡単にそれぞれの特徴をまとめると次のようになります。

 

項目

同時廃止

管財事件

予納金

1〜3万円

20万円〜

期間

3〜4ヶ月

半年〜1年以上

破産管財人

選ばれない

選ばれる

債権者集会

なし

あり

裁判所への出頭

比較的少ない

比較的多い

 

破産管財人が財産を調べる

管財事件の大きな特徴は「裁判所が破産管財人を選任する」という点にあります。

破産管財人は財産の調査や管理を担当し、具体的には預金通帳を確認したり保険の解約返戻金を調べたり、売却できる財産がないか探したりします。見つかった財産は換価(売却してお金に換えること)され、債権者への配当に回されます。

ただ、財産調査だけが仕事ではありません。借金をした経緯や使い道も確認し、その結果を裁判所に報告します。裁判所が免責(債務の返済義務を免除すること)を認めてよいかどうか判断するための資料とする役割も担っています。

 

財産関係が複雑な人に多い

管財事件として扱われるのは、主に次のようなケースです。

  • ある程度まとまった財産がある(現金や預金が数十万円を超えるなど)
  • 一定額以上の価値がある不動産や車を所有している
  • 解約返戻金の額が一定以上になる保険に加入している
  • 過去にギャンブルや浪費で借金を作った
  • 個人事業主や会社経営者だった など

財産が少なくても、借金の理由次第で管財事件になることがあります。

 

高コスト・長期間の傾向

管財事件だと予納金に50万円程度は必要で、場合によっては100万円を超えてくることもあります。

手続きにかかる期間も半年から1年ほど、あるいはそれ以上かかることも珍しくありません。債権者集会が開かれるため少なくとも1〜2回程度は裁判所へ出頭しなくてはなりませんし、事件の内容によってはさらに出頭回数が増えることもあるでしょう。

ただ、弁護士をつけた場合には「少額管財」という簡易な方法で管財事件を処理してもらえる可能性があります。少額管財としてもらうための大事な条件としては、①申立先となる地方裁判所で少額管財の運用があること、②弁護士に対応を依頼していること、の2点が挙げられます。

この場合、引継予納金は20万円程度まで抑えることができます。弁護士が事前に財産の調査などをある程度行っているため破産管財人の負担が軽くなり、その分報酬も安くできるという仕組みです。
弁護士費用が別途発生しますがトータルのコストを抑えられる可能性がありますし、自分で対応するより手続きにかかる期間も短縮できる可能性が高まります。